注文住宅の相場を調べる時の注意点は?
一戸建て、特に注文住宅を購入する際に最も気になるのが価格です。
かなり高額の買い物になるため、どのぐらいお金がかかるのかというのは非常に重要な問題です。
一生に二件も三件も家を買うという人はごく稀でしょうから、殆どの人にとっては一生に一度の大きなイベントになるはずです。前回の経験を活かすこともできなければ、失敗の経験を次に活かすことも難しいです。
自分の経験や失敗を活かすことができないのであれば、他の人の体験談が非常に重要になります。効率的な情報収集の方法や、良いメーカーを探すコツなど、ためになる情報がたくさんあります。
しかし、住宅の価格については注意が必要です。自分の建てたい家のためにはどのくらいかかるのか?見積もりの値段は相場と照らし合わせて妥当なものなのか?
このような疑問を解消するために、住宅価格の相場について調べている方も多いことでしょう。
ただ残念なことに、注文住宅には相場が存在しません。
なぜ他の人の住宅価格が当てにならないのか
注文住宅を建てる時に損をしない損をしないためには、家の適正価格を知る必要があります。しかし、困ったことに注文住宅には定価も相場もありません。
これは、住宅情報誌やインターネット上にある建築事例を見ても明らかです。
同じ大きさの住宅でも、5千万円以上かかっているものもあれば、2000万円以下で建っているものもあります。坪数やメーカーが同じでも、ケースによって値段がバラバラであることに気がつくはずです。
なぜこれほどに価格の差が生まれるのでしょうか。
それは、注文住宅には同じものがないからです。
建て売りの住宅と違い、注文住宅は購入者の希望に合わせて造られます。間取りや内装、設備などを好きなように組み合わせるオーダーメイドの商品です。
例えばキッチンなどの設備。
標準のシステムキッチンとアイランドキッチンやハイグレードのモデルとでは、数十万円、多い時は百万円以上の差が生まれます。
内装や外装もシンプルなものから、高機能やデザイン性の高いものまで様々です。何を選ぶかによって、金額に大きな差が出ることになります。
家だけでなく、どこに建てるかも大きく影響します。道路に面した土地と、奥まった土地とでは、工事にかかる費用が違います。
建て売りの場合は、似たような条件の土地に、似たような住宅を建てるため、価格の比較は容易です。しかし、注文住宅の場合は個々の状況に合わせて建てられるため、標準といえる価格がありません。条件や希望がバラバラである以上、他の人がたてた家の値段というのはあまりあてにならないのです。
しかも、同じ希望、同じ土地で見積もりを依頼しても、設計者やメーカーによっても価格にはばらつきがあります。似たような条件だとしても、適正価格を見極めるのは非常に難しいのが現状です。
注文住宅の価格を左右する要因は?
注文住宅の値段は様々な要因によって左右されるため、定価や相場がありません。では、価格に影響を与える要因について、具体的に確認していきましょう。
注文住宅に購入にかかる費用は、本体価格と付帯工事費の二つに分けられます。
本体価格は建物そのものの値段です。基礎から内装までをまとめた価格です。坪単価はこの本体価格を坪数で割って算出されます。
付帯工事費は、家の工事に付随してかかる費用や、建物そのものの他に必要になるライフラインや外構等の工事にかかる費用です。坪単価だけで考えてしまい、この付帯工事費のこと考慮していなかったというのはよくある失敗です。
購入に関わる費用の内訳や影響の大きい要因が分ければ、価格の比較だけでなく、コストカットの際にも役立ちます。
本体価格
本体価格は以下のように分けられます。
・構造
木造、鉄骨造など、家の骨組みが何でできているかは、家の価格に非常に大きく影響します。
基本的に、
木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造
の順に高くなります。
材料や工事の手間暇だけでなく、建物が重くなればなるほど基礎の強度も必要になるため、想像以上に価格に及ぼす影響は大きいです。
家を支える骨組みが何でできているかということは、家の安全性や生活の快適さに直結します。間取りにも大きく影響するため、家づくりの際には構造の選択が最初の大きな分岐点になるでしょう。
・建物の形
住宅の形は単純な方が安く、複雑な形ほど高くなります。
直方体や立方体の住宅は価格を抑えやすいですが、コの字型やロの字型になると高くなります。
単純な形であれば強度が保ちやすいのですが、大きな開口部がある場合などは素材や設計に工夫が必要になることもあります。また、凹みや出っ張りの部分が増えればその分だけ壁や屋根の面積が増え、コストがかかります。
また、同じ床面積であれば平屋建てのよりも二階建ての方が低価格にしやすいです。
せっかくの注文住宅だからと家の外観にこだわって複雑な形にすると、思った以上に費用がかさんでしまうことも珍しくありません。注意しましょう。
・間取りと部屋数
建物の形と同様に、複雑な間取りであったり、部屋数が多かったりすると値段が高くなります。部屋の数は、壁や間仕切りの数だけではなく、窓やドア、コンセントの数にも影響します。
しかしだからといって、部屋数を減らしすぎては暮らしにくくなってしまいます。使い勝手やライフプラン、価格などを比べつつ、程よい数に収めることが重要です。
・外装と内装
外壁材や壁紙は住宅の見た目を左右します。
単純な形の住宅でも、外装に工夫をこらすことで、見栄えがぐっと良くなることもあります。
しかし、外壁も内壁もかなりの面積があるため、少し高い素材を選んだつもりでも、トータルでみるとかなりのコスト増となってしまう可能性があります。
・設備
お風呂やキッチン、トイレなどの設備も重要なポイントです。
どれも生活に必要な設備ですが、値段もそれなりに高額です。
グレードによる価格差も大きく、普通のシステムキッチンとおしゃれなアイランドキッチンでは天と地ほどの差があります。間取りやスペース、デザインの都合でオーダーメイドとなる場合はさらに高額になることもあります。
・オプション
標準設備にない収納や、床暖房や太陽光発電などの設備などをオプションとして追加できます。
当然オプションを増やせば増やすほど値段が上がります。
何を標準設備としているかどうかは、メーカーや工務店によって多少異なります。どうしても欲しい設備がある場合は、その設備が標準設備なのかオプションなのかにも注目しておくと良いでしょう。
キッチンなどの設備とは違い、オプションに含まれるものは、家の完成後に購入したり、別のもので代用したりできるものが多くあります。
例えば、収納であれば作り付けではなく収納家具を買うことで代用できます。オーダーメイドで収納を造ってもらうと高く付くことが多いため、家具を買ったほうが安上がりになりやすいです。また、模様替えや生活環境が変わった場合などは家具の方が対応しやすいです。
しかし、作り付けには作り付けの良さがあります。見た目の統一感や掃除のしやすさ、地震の時に倒れる心配がないなどのメリットがあります。
住宅にオプションとして付けたほうが良いのか、それとも別に用意した方がいいのかは、目的や予算によって様々です。
付帯工事費
付帯工事費は坪単価に含まれていないため、忘れていると「思っていたよりも高かった」と感じる原因になりやすいです。
付帯工事費目安は総費用の二割程度とされることが多いですが、土地の状況になどによって変わるため、もっと安いこともあれば高いこともあります。しかし、無視して良い金額ではないことは確かです。
付帯工事費の中には、建築予定地が決定した時点でコストカットが既に困難となってしまうものが多くあります。本体価格であれば設計段階で削減できますが、付帯工事費は地盤や立地が影響するため、どうしても節約できない部分が存在します。
付帯工事費を低く抑えたい場合は、土地選びにも注意が必要になります。
付帯工事費に含まれるのは以下のような費用です。
・土地に関する費用
地盤の調査や、地盤改良にかかる費用があります。
また、古い住宅がある場合は、その解体費用も必要になります。
・ライフラインに関する費用
電気や水、エアコンの工事などに関わる費用です。
また、廊下やトイレなどの共用部以外の照明は本体価格ではなく付帯工事費となります。
・外構工事費
塀や庭、カーポートの工事に関わる費用は付帯工事費に分類されます。
・その他の費用
各種申請や地鎮祭にもお金がかかります。
その他にも、住宅ローンの保証や火災保険、引っ越し費用などが挙げられます。
建て替えの場合は、仮住まい中の家賃や収まらない荷物のためのトランクルームが必要になることもあります。
住宅完成までの生活をシミュレートし、何が必要になるかを確認しておくようにしましょう。
地域によっても価格に差が生じる
同じような条件の土地、住宅でも、地域によって差が出ます。これは人件費の都合に因るもので、地方と都市部では都市部の方が高くなります。
建築事例を見て住宅や土地の条件が近いと思っても、地域が書かれていない場合や、遠い場合は参考にしてはいけません。
工務店とハウスメーカーに価格差はあるのか
厳密な分類があるわけはないのですが、規模の大きい全国展開しているような建築会社がハウスメーカー、規模が比較的小さく、地域が限られているものが工務店と呼ばれることが多いです。
一般的に、ハウスメーカーは高く、工務店は安いというイメージが抱かれています。
ハウスメーカーの多くが工務店よりも広告宣伝や研究開発にお金をかけているため、住宅の価格にもそれが影響しているためです。
しかし、見積もりを取れば分かるように、工務店の方が高いこともあれば、ハウスメーカーの方が安いこともあります。ハウスメーカーでも工務店でも、デザインや質に力を入れている会社もあれば、低価格住宅を扱っている会社もあります。
建築会社ごとの価格差は、会社の規模の大小ではなく、それぞれの会社が目指しているものが違うと考えるべきです。
ハウスメーカーは高いと決めつけず、広い視野で見積もりを取り、自分の希望条件にあった価格で比較することが大切です。
建売住宅と注文住宅
建売住宅と注文住宅を比較した場合、建売住宅の方が圧倒的に安いです。
建売住宅は条件を揃えた住宅をまとめて建築することが多く、コストの削減が用意であるためです。設備や内装もシンプルなことが多く、安く住宅を提供すること重点がおかれています。
土地の相場
注文住宅の価格とは違い、土地の相場は比較的安定しています。
土地の価格は場所と広さ、形、道路状況などから決定され、注文住宅よりも価格に影響する要因が少ないです。また、これらの要因が変わってしまうことも稀であるため、急に価格が変わってしまう心配もほとんどありません。
注文住宅の相場とは違い、近隣地域や近い条件の相場が参考にできます。
家の適正価格を知る方法は?
他の人の注文住宅の価格が参考にできないとなると、どのようにして住宅の適正価格を知れば良いのでしょうか。
適正価格を知らないまま家づくりを進めてしまうのは非常に危険です。
見積価格が不当に高くても気がつくことができませんし、無駄なお金を払ってしまう可能性もあります。高いからと諦めてしまった設備やオプションも、別の部分を節約すれば諦める必要がなかったかもしれません。
では、相場以外から住宅の適正価格を知る方法はあるのでしょうか?
それは、実際に色々なメーカーや工務店から見積もりを取ることです。
複数の見積もりどうしを比較すれば、自分の建てたい家にどの程度の費用がかかるのかを知ることができます。見積もりは自分の希望に合わせて作成されていますから、条件の合わない心配はありません。
見積もりをみることで、具体的な家づくりのプランを建てることができます。思ったよりも高く、なにか諦めなければならない場合もあれば、考えていたよりも余裕があり、諦めようと思っていた要素を付け足そうと思えるケースもあることでしょう。
問題は、見積もりを集めるのが意外と重労働だということです。一件一件問い合わせたり、希望する家の条件を伝えたりするのは想像以上に面倒です。また、どの会社に見積り依頼するかも問題です。世の中にある玉石混交の建築会社の中から、有料な会社を見つけ出すのはなかなか骨が折れます。
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